歯列矯正で歯が内向きになる失敗とは
歯列矯正治療は、美しい歯並びと良好な噛み合わせを目指すものですが、稀に「歯が内側に倒れ込みすぎた」「口元が引っ込みすぎた」といった、いわゆる内向きの失敗が起こることがあります。これは、主に前歯部、特に上の前歯に見られることが多く、期待していた口元とは異なる結果に繋がってしまう可能性があります。では、なぜこのような内向きの失敗が起こるのでしょうか。原因の一つとして、抜歯矯正におけるスペースの閉じ方の問題が挙げられます。抜歯によって得られたスペースを利用して前歯を後退させる際、適切なコントロールが行われないと、前歯が内側に過度に傾斜してしまうことがあります。また、非抜歯矯正であっても、歯列のアーチ形態を整える過程で、前歯の角度調整が不十分だと同様の問題が生じる可能性があります。さらに、治療計画の立案段階での診断ミスや、患者さんの骨格や歯の大きさ、唇の厚みといった個々の特徴の見誤りも、内向きの仕上がりを招く要因となり得ます。例えば、元々口元があまり突出していない方が過度に前歯を後退させると、口元が寂しい印象になったり、鼻の下が長く見えたりすることもあります。矯正治療は、単に歯を並べるだけでなく、顔全体のバランスや口元の審美性を考慮した上で進められるべきものです。もし治療の途中で「歯が内側に入りすぎているのでは?」と感じたら、早めに担当の歯科医師に相談し、懸念を伝えることが重要です。早期の軌道修正が可能であれば、より満足のいく結果に繋がるでしょう。