歯列矯正治療とインプラント治療の両方が必要な場合、それぞれの治療にかかる費用と期間、そして全体の流れを事前に把握しておくことは非常に重要です。これらの治療は、いずれも専門性が高く、時間と費用を要するため、しっかりとした計画と準備が求められます。まず、費用についてです。歯列矯正治療とインプラント治療は、基本的にどちらも自由診療(保険適用外)となるため、治療費は高額になる傾向があります。歯列矯正の費用は、使用する装置の種類(表側矯正、舌側矯正、マウスピース型矯正など)、治療の難易度、治療範囲(上下顎か片顎かなど)によって大きく異なり、一般的には数十万円から百数十万円程度が相場とされています。一方、インプラント治療の費用は、埋入するインプラントの本数、使用するインプラントのメーカーや種類、上部構造(被せ物)の材質、そして骨造成などの追加手術の有無によって変動し、1本あたり30万円から50万円程度が目安となることが多いようです。したがって、両方の治療を行う場合、これらの費用を合算した金額が必要になることを念頭に置く必要があります。正確な総費用については、それぞれの専門医による精密検査と診断、そして治療計画の立案後に提示されることになります。次に、治療期間についてです。歯列矯正治療の期間は、一般的に1年半から3年程度かかることが多いですが、歯並びの状態や年齢、治療法によって異なります。インプラント治療の期間は、インプラントを顎の骨に埋入してから骨と結合するまでの待機期間(通常3ヶ月から6ヶ月程度)、そして上部構造を装着するまでの期間を合わせると、半年から1年程度が一般的です。もし骨造成などの追加手術が必要な場合は、さらに数ヶ月から半年程度の期間が加わることもあります。両方の治療を行う場合の全体の流れと期間ですが、多くの場合、まず歯列矯正治療を先行させます。矯正治療が完了し、歯並びと噛み合わせが整い、インプラントを埋入するためのスペースが確保された段階で、インプラント治療に移行します。したがって、全体の治療期間は、単純にそれぞれの治療期間を足し合わせたもの、あるいはそれ以上になる可能性も考慮しておく必要があります。例えば、矯正治療に2年、その後インプラント治療に半年かかるとすれば、トータルで2年半以上の期間を見込むことになります。