歯列矯正治療で目立ちにくい装置としてセラミックブラケットを選ぶ際、実は様々な種類のセラミックブラケットが存在することをご存知でしょうか。メーカーや製品によって、色調、透明度、形状、そしてワイヤーを留める仕組みなどが異なります。矯正歯科医は、患者さんの歯の色や状態、治療計画に合わせて最適なブラケットを選択しますが、患者さん自身もある程度の知識を持っておくと、治療への理解が深まり、より納得のいく選択ができるかもしれません。まず、セラミックブラケットの色調と透明度です。セラミックブラケットには、真っ白な不透明タイプから、やや透明感のあるタイプ、そして非常に透明度が高く歯の色を透過しやすいタイプまで、様々なバリエーションがあります。一般的に、歯の色が白い方には不透明な白いブラケットが馴染みやすく、歯の色がやや黄みがかっている方や、歯の色調が均一でない方には、透明感のあるブラケットの方が周囲の歯の色に溶け込みやすく、より自然に見えることがあります。歯科医師は、患者さんの実際の歯の色に合わせて、最も目立ちにくいと思われる色調のブラケットを提案してくれます。次に、ブラケットの形状です。ブラケットの大きさや厚み、丸みなども製品によって異なります。一般的に、ブラケットが小さく、薄く、角が丸い方が、装着時の違和感や口内炎のリスクが軽減され、清掃性も向上します。また、フック(ゴムなどをかけるための突起)の有無や形状も、治療計画によっては重要な要素となります。そして、ワイヤーをブラケットに固定する仕組み(結紮方法)にも違いがあります。従来型のセラミックブラケットは、ワイヤーを細いゴム(エラスティックモジュール)や細い金属線(リガチャーワイヤー)でブラケットに結びつけるタイプです。このゴムは、色の濃い飲食物で着色しやすいという欠点がありましたが、最近では着色しにくい素材のものも出ています。一方、近年注目されているのが「セルフライゲーションブラケット」と呼ばれるタイプです。これは、ブラケット自体にシャッターやクリップのような開閉式の蓋がついており、その蓋でワイヤーを保持する仕組みになっています。
歯列矯正用セラミックブラケットの選び方のポイント