歯列矯正治療中の中学生にとって、毎日の食事は少し工夫が必要になることがあります。矯正装置、特にワイヤー矯正の場合、硬いものや粘着性の高いもの、繊維質の多いものが装置に絡まったり、装置を破損させたりする可能性があるためです。しかし、成長期の中学生にとって栄養バランスの取れた食事は非常に重要です。食べられるものが制限されるからといって、栄養が偏ってしまっては元も子もありません。まず、避けた方が良い食べ物の代表例としては、おせんべいやナッツ類などの硬いもの、お餅やキャラメル、ガムなどの粘着性の高いもの、そして繊維が多くて細かく噛み切りにくい葉物野菜やキノコ類などが挙げられます。これらは、装置に挟まったり、ワイヤーが外れたりする原因になりやすいです。では、どのような食事を心がければ良いのでしょうか。基本は、「柔らかく調理する」「小さくカットする」ということです。例えば、お肉は煮込み料理にしたり、ひき肉を使ったりすると食べやすくなります。野菜も、生で食べるよりも茹でたり蒸したりして柔らかくし、細かく刻むと良いでしょう。リンゴや梨などの果物も、丸かじりせずに、小さく切ってから食べるようにします。麺類は、細かくすすらないように注意し、一口ずつゆっくりと食べるようにしましょう。パンも、フランスパンのような硬いものではなく、食パンやロールパンなど柔らかいものが適しています。矯正中でも美味しく食べられるレシピとしては、例えば、鶏ひき肉と豆腐を使った和風あんかけハンバーグ、野菜をたっぷり入れたミネストローネ、卵とじうどん、ツナとコーンの炊き込みご飯などがおすすめです。デザートには、ヨーグルトやプリン、ゼリーなどが良いでしょう。また、食事の後は、できるだけ早く歯磨きをすることが大切です。装置の周りに食べかすが残っていると、虫歯や口臭の原因になります。学校で給食を食べた後も、歯磨きをする習慣をつけましょう。最初は戸惑うかもしれませんが、少しの工夫と慣れで、矯正中でも美味しく栄養満点の食事を楽しむことは十分に可能です。