実践すれば本当に審美歯科が変わってしまう8つのポイント

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  • 歯列矯正の秘密兵器インプラントアンカーとは

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    歯列矯正治療を進める中で、歯科医師から「インプラントアンカーを使いましょう」と提案され、戸惑った経験をお持ちの方もいるかもしれません。口の中にネジのようなものを埋め込むと聞き、その響きだけで不安を感じてしまうのも無理はありません。しかし、このインプラントアンカー、正式には「歯科矯正用アンカースクリュー」と呼ばれる小さな装置は、現代の歯列矯正において治療の精度と効率を飛躍的に向上させる、まさに「秘密兵器」とも言える存在なのです。その役割を理解するためには、まず歯が動く仕組みの基本である「作用・反作用の法則」を知る必要があります。歯に矯正装置をつけて力を加えると、動かしたい歯(作用)だけでなく、その力を支える側の歯(反作用)も、意図せず動いてしまうことがあります。例えば、前歯を後ろに下げたい場合、奥歯を支えにしてゴムで引っ張ると、前歯が下がるのと同時に、奥歯も少し前に引っ張られてしまうのです。これでは、治療計画にズレが生じ、治療期間が長引く原因にもなります。そこで登場するのがインプラントアンカーです。これは、チタン合金などで作られた直径1〜2ミリ、長さ6〜10ミリ程度の非常に小さなネジで、歯茎の上から顎の骨に直接埋め込みます。顎の骨にしっかりと固定されたインプラントアンカーは、歯のように動くことがない「絶対的な固定源」となります。船が港で流されないように海底に下ろす「錨(いかり)」を想像していただくと分かりやすいでしょう。この動かない錨を支えにして歯を引っ張ることで、反作用による不要な歯の動きを完全に防ぎ、動かしたい歯だけを、計画通りに、かつ効率的に移動させることが可能になるのです。この技術の登場により、これまで非常に困難とされていた歯の動きも実現できるようになり、歯列矯正治療の可能性は大きく広がりました。