歯列矯正治療では、月に一度程度の頻度でワイヤーの調整や交換が行われます。この調整は、歯をさらに動かすために新たな力を加える処置であり、その後の数日間は、装置を初めて装着した時と同様に、歯が痛んだり、物が噛みにくくなったりすることがあります。「またあの痛みが来るのか…」と少し憂鬱になるかもしれませんが、これも治療が順調に進んでいる証拠です。調整後の数日間を少しでも快適に過ごすためには、食事内容に工夫を凝らすことが有効です。基本的な考え方は、装置装着直後と同じく、「歯に負担をかけない、柔らかい食事」を心がけることです。ただし、初期の頃ほど長期間続くわけではなく、多くは2日から長くても5日程度で落ち着くため、その期間だけ乗り切れば良いと割り切ることも大切です。調整直後の食事としては、やはりおかゆや雑炊、柔らかく煮込んだうどん、スープ類などが定番です。これらは消化も良く、栄養も摂りやすいのでおすすめです。タンパク質源としては、豆腐や卵料理(だし巻き卵、スクランブルエッグなど)、ひき肉を使ったあんかけ料理などが良いでしょう。魚も、白身魚の煮付けや蒸し料理など、骨が少なく柔らかいものを選びましょう。野菜は、ポトフのようにじっくり煮込んだものや、マッシュポテト、ほうれん草のおひたし(細かく刻む)などが食べやすいです。果物も、バナナや熟した桃、缶詰の果物など、柔らかいものを選び、必要であれば小さくカットしたり、潰したりして食べると良いでしょう。ヨーグルトやゼリー、プリンなども、手軽に栄養補給ができるので常備しておくと便利です。また、食事の際には、痛む歯を避けて、比較的痛みの少ない奥歯でゆっくりと噛むように意識するのも一つの方法です。ただし、無理は禁物です。どうしても噛むのが辛い場合は、栄養補助食品やプロテインドリンクなどを活用するのも良いでしょう。そして、痛みが強い場合は、我慢せずに歯科医師に相談し、鎮痛剤を服用することも検討してください。調整後の痛みは一過性のものです。上手に食事をコントロールして、この期間を乗り切りましょう。