矯正歯科医が語るブリッジと矯正の最適解
歯列矯正専門医の立場から見ると、ブリッジが存在する患者さんの矯正治療は、いくつかの特別な配慮が必要となるケースです。まず、我々が最も重視するのは、最終的な口腔内全体の機能と審美性の調和です。ブリッジは欠損補綴の一つの優れた方法ですが、矯正治療の観点からは、歯の移動を制限する要因となり得ます。そのため、治療計画の初期段階で、既存のブリッジをどのように扱うか、矯正治療後にどのような形態のブリッジが最適かを、一般歯科医とも連携しながら慎重に検討します。例えば、ブリッジの支台歯が健全で、かつブリッジのデザインが治療の妨げにならない場合は、ブリッジをそのままにして周囲の歯を動かすこともあります。しかし、多くの場合、ブリッジを一時的に分割したり除去したりして、支台歯を個別にコントロールできるようにする必要があります。この際、患者さんには治療期間中の審美性や咀嚼機能の低下について十分にご理解いただく必要があります。また、矯正治療のゴール設定も重要です。ブリッジで補われる部分のスペースを適切に確保し、支台歯となる歯を理想的な位置と角度に配置することで、最終的なブリッジが長期的に安定し、機能的にも審美的にも優れたものになるよう努めます。矯正治療によって歯並びが整った後、改めて精密な検査を行い、最終的なブリッジの設計を行います。この段階でも、噛み合わせのバランスや清掃のしやすさなどを考慮し、患者さんにとって最良の選択ができるようサポートします。ブリッジと矯正治療の組み合わせは複雑な場合もありますが、適切な診断と計画、そして患者さんの協力があれば、満足のいく結果を得ることが可能です。