長年、自分の滑舌の悪さにコンプレックスを抱えていました。特にサ行とタ行が苦手で、人前で話すのが億劫でしたし、電話などでは聞き返されることもしばしば。「生まれつきだから仕方ない」と諦めかけていたのですが、ある時、友人に「もしかして歯並びが原因かもよ?」と言われたのがきっかけで、矯正歯科の門を叩きました。私の歯並びは、いわゆる「すきっ歯」で、特に上の前歯の間に大きな隙間がありました。さらに、若干の出っ歯気味でもありました。カウンセリングで先生に発音の悩みを相談すると、「前歯の隙間から息が漏れてしまうことと、舌の位置が不安定なことが、滑舌の悪さに影響している可能性が高いですね。矯正治療で歯並びを整えれば、改善が期待できますよ」と言われ、一縷の望みを託して治療を開始しました。私が選んだのは表側のワイヤー矯正です。装置をつけた当初は、やはり話しにくさを感じました。特に、舌がワイヤーに当たってしまい、慣れるまでは思うように喋れませんでした。しかし、先生に教えてもらった発音練習を毎日続け、意識してゆっくり話すように心がけているうちに、数週間でだいぶ慣れてきました。そして、治療が進み、前歯の隙間が徐々に閉じてくると、驚くべき変化が現れ始めたのです。あれほど苦手だったサ行が、以前よりもずっとクリアに発音できるようになったのです!息漏れがなくなったことで、音がしっかりと前に出るようになったのを感じました。タ行も同様で、舌の動きがスムーズになり、はっきりとした音が出せるようになりました。治療期間は約2年かかりましたが、ブラケットが外れた時の感動は忘れられません。歯並びが綺麗になったことはもちろん嬉しかったですが、それ以上に、滑舌が劇的に改善されたことに驚きと喜びでいっぱいでした。今では、人前で話すことへの抵抗感もなくなり、以前よりもずっとコミュニケーションが楽しくなりました。友人からも「すごく話しやすくなったね!」と言われます。歯列矯正は、見た目だけでなく、私の人生における大きなコンプレックスを解消してくれました。もし、滑舌の悪さで悩んでいる方がいたら、一度、歯並びとの関連を疑ってみるのも良いかもしれません。私のように、思わぬ解決策が見つかるかもしれませんよ。