多くの中学生にとって、部活動は学校生活の大きな部分を占めています。そのため、歯列矯正治療を始めるにあたり、「部活動と両立できるのだろうか?」と心配されるお子さんや保護者の方は少なくありません。結論から言えば、適切な配慮と工夫をすれば、多くの場合、部活動と歯列矯正の両立は可能です。しかし、活動内容によってはいくつかの注意点があります。まず、吹奏楽部などで管楽器を演奏する場合、唇や口の周りの筋肉の使い方が重要になります。矯正装置、特に表側のワイヤー矯正装置は、慣れるまで楽器が演奏しにくかったり、唇の内側に装置が当たって痛みを感じたりすることがあります。この場合、マウスピース型矯正装置を選択したり、装置の保護カバーを使用したりといった対策が考えられます。歯科医師に事前に相談し、楽器の種類や演奏頻度などを伝えることが大切です。次に、バスケットボール、サッカー、ラグビー、格闘技など、顔面にボールや相手の体との接触が多いコンタクトスポーツの場合、矯正装置による口内の怪我のリスクが高まります。ワイヤー矯正の場合は、スポーツ用のマウスガードを装着することで、唇や歯茎、装置の破損を防ぐことができます。マウスピース型矯正装置は、比較的衝撃に強いと言われていますが、激しい接触が予想される場合は、一時的に外すか、同様にマウスガードを使用することを検討しましょう。また、運動中は口が渇きやすく、唾液による自浄作用が低下するため、虫歯のリスクが高まる可能性があります。練習前後や休憩中には、こまめに水分補給をしたり、うがいをしたりするよう心がけましょう。食事に関しても、部活動でエネルギー消費が激しい時期は、栄養バランスの取れた食事が重要です。矯正装置がついていると、硬いものや粘着性のあるものが食べにくくなることがあるため、柔らかく調理したり、小さく切ったりするなどの工夫が必要です。歯科医師や栄養士に相談し、適切な食事内容についてアドバイスをもらうのも良いでしょう。最も重要なのは、お子さん自身が無理なく部活動を続けられるように、歯科医師とよく相談し、個々の状況に合わせた対策を講じることです。
部活動と両立できる?中学生の歯列矯正と注意点