歯列矯正治療中に「もしかして歯が内向きになりすぎているかも?」と感じた場合、早期に気づき、担当の歯科医師に相談することが、より深刻な失敗を防ぐために重要です。治療は長期間にわたるため、定期的な調整時に自身の歯並びや口元の変化を注意深く観察する習慣をつけましょう。チェックポイントとしては、まず正面から見たときの上の前歯の傾きです。過度に内側に傾斜していないか、下の前歯との重なり具合(オーバージェット、オーバーバイト)が適切かを確認します。次に、横顔のシルエットです。鏡を見たり、写真を撮ったりして、口元が引っ込みすぎていないか、鼻と顎を結んだEライン(エステティックライン)とのバランスが悪くなっていないかを確認しましょう。特に抜歯矯正を行っている場合は、前歯の後退量に注意が必要です。また、笑顔を作ったときの口元の印象も大切です。以前よりも笑顔が不自然に見えたり、口角が下がって見えたりする場合は、歯の傾斜が影響している可能性があります。もしこれらの点で違和感や懸念を感じたら、次の調整日を待たずに、できるだけ早く担当の歯科医師に伝えましょう。その際、具体的にどの部分が気になるのか、どのように改善したいのかを明確に伝えることが大切です。歯科医師は、患者さんの訴えと実際の口腔内の状態を照らし合わせ、必要であれば治療計画の微調整を行います。治療は歯科医師と患者さんの二人三脚です。疑問や不安を抱えたまま治療を進めるのではなく、積極的にコミュニケーションを取り、納得のいくゴールを目指しましょう。