歯列矯正治療中に悩まされることのある首こり。つらい症状を少しでも和らげるためには、日々のセルフケアが重要になります。ただし、自己判断で間違ったケアを行うと症状を悪化させる可能性もあるため、注意点を守りながら行うことが大切です。まず、最も手軽にできるのは「ストレッチ」です。首や肩周りの筋肉をゆっくりと伸ばすことで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。例えば、首をゆっくりと前後左右に倒したり、回したりするストレッチや、肩を大きく回したり、上げ下げしたりするストレッチが有効です。ポイントは、反動をつけずに、痛気持ちいい程度にゆっくりと行うことです。無理に伸ばそうとすると、かえって筋肉を痛めてしまうことがあるので注意しましょう。次に、「温める」ことも効果的です。蒸しタオルや温熱シートなどで首や肩の周りを温めると、血管が拡張して血行が良くなり、筋肉の緊張が和らぎます。入浴時に湯船にゆっくりと浸かり、全身を温めるのも良いでしょう。ただし、炎症が起きている場合(熱感がある、ズキズキ痛むなど)は、温めることで症状が悪化することもあるため、そのような場合は冷やす方が適切なこともあります。判断に迷う場合は、医師に相談してください。また、「正しい姿勢を意識する」ことも非常に重要です。デスクワーク中やスマートフォンを使用する際には、猫背になったり、頭が前に突き出たりしないように注意し、背筋を伸ばして顎を引くような姿勢を心がけましょう。長時間同じ姿勢でいることを避け、こまめに休憩を取り、軽いストレッチを取り入れるのも効果的です。睡眠環境も見直してみましょう。合わない枕を使用していると、首に負担がかかり、こりを悪化させる原因となります。自分の首の高さやカーブに合った枕を選ぶことが大切です。加えて、適度な運動も血行促進やストレス解消に繋がり、首こりの予防・改善に役立ちます。ウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を取り入れましょう。ただし、これらのセルフケアはあくまで対症療法であり、根本的な原因が矯正治療に伴う噛み合わせの変化などにある場合は、担当の歯科医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが最も重要です。症状が強い場合や長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしてください。