透明で目立ちにくく、取り外しが可能なマウスピース型矯正装置は、ワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が少ないと言われることがあります。しかし、マウスピース矯正であっても、新しいマウスピースに交換した直後には、歯が締め付けられるような圧迫感や、噛んだ時の痛みを感じることがあります。これは、マウスピースが歯を計画された位置へと動かすために、持続的な力を加えている証拠です。マウスピース矯正の場合、通常1週間から2週間ごとに新しい段階のマウスピースに交換していきます。この交換のタイミングが、ワイヤー矯正における調整の時期に相当し、痛みや噛みにくさのピークとなりやすいです。特に、治療の初期段階や、歯を大きく動かす段階のマウスピースに交換した際には、比較的強い痛みを感じることがあります。多くの場合、新しいマウスピースに交換してから2日から3日程度で痛みは和らぎ、徐々に慣れていくことがほとんどです。この期間の食事については、ワイヤー矯正と同様に、硬いものや弾力のあるものは避け、柔らかく食べやすいものを選ぶようにしましょう。おかゆ、スープ、ヨーグルト、豆腐、柔らかく煮た野菜や魚などが適しています。マウスピース矯正の大きなメリットの一つは、食事の際には装置を取り外せることです。そのため、基本的には何でも食べることができますが、新しいマウスピースに交換した直後で歯が痛む時期は、無理に普段通りの食事を摂ろうとせず、歯に負担の少ないメニューを選ぶことが賢明です。また、マウスピースを外して食事をした後は、必ず歯磨きをしてから再度装着する必要があります。食べかすが残ったままマウスピースを装着すると、虫歯や歯周病のリスクが高まるため注意が必要です。特に、甘い飲み物や食べ物を摂取した後は、念入りな清掃を心がけましょう。マウスピース矯正中の痛みや噛みにくさは、ワイヤー矯正に比べると比較的軽度で短期間であることが多いですが、それでも辛い場合は我慢せずに歯科医師に相談してください。痛み止めを服用したり、一時的に一つ前のマウスピースに戻したりといった対処法が考えられる場合もあります。