歯列矯正治療の結果、前歯が内側に倒れ込みすぎたり、口元が引っ込みすぎたりして不満を感じる場合、再治療によってある程度リカバリーできる可能性があります。ただし、リカバリー治療は、最初の治療よりも複雑で難易度が高くなるケースも多く、時間や費用も追加で必要になることを理解しておく必要があります。まず、現在の状態を正確に把握し、どのような点に不満を感じているのか、どのような口元が理想なのかを明確にすることが重要です。その上で、矯正治療を専門とする歯科医師に相談し、セカンドオピニオンを求めることをお勧めします。再治療の方法としては、いくつかの選択肢が考えられます。一つは、再度ブラケットやワイヤーなどの矯正装置を装着し、内向きになった歯を適切な位置や角度に修正する方法です。この際、必要に応じて小さなネジ(アンカースクリュー)を歯茎に埋め込み、それを固定源として歯を効率的に動かすこともあります。また、歯の傾きだけでなく、歯列全体のアーチ形態や噛み合わせのバランスを再調整することも重要です。場合によっては、削れてしまった歯の形態を修復するために、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)を盛り足したり、ラミネートベニア(歯の表面に薄いセラミックを貼り付ける治療)を行ったりすることもあります。リカバリー治療の期間や費用は、現在の歯の状態や治療の難易度によって大きく異なります。歯科医師と十分に話し合い、治療計画やリスク、費用について納得した上で治療を開始することが大切です。安易に再治療に踏み切るのではなく、慎重な判断が求められます。