インプラントアンカーが歯列矯正にもたらす多大なメリットは、疑いようのない事実です。しかし、どんな医療行為にもメリットがあれば、必ずデメリットやリスクも存在します。安全に治療を進めるためには、こうした負の側面についても正しく理解し、備えておくことが非常に重要です。患者さんが最も心配されるデメリットは、やはり「痛み」でしょう。埋入処置中の痛みは局所麻酔によって防げますが、麻酔が切れた後には、数日間、鈍い痛みや違和感が続くことがあります。これは処方される鎮痛剤で対応可能ですが、痛みの感じ方には個人差があります。また、埋入後、アンカーのヘッド部分が頬や舌の粘膜に当たって口内炎ができることもありますが、これはワックス(保護剤)でカバーすることで対処できます。次に、起こりうるリスクとして「脱落」が挙げられます。インプラントアンカーは、顎の骨の状態や、埋入部位の骨の密度、あるいは指や舌で頻繁に触ってしまうなどの癖によって、安定せずに緩んで抜け落ちてしまうことがあります。脱落率は数パーセントから十数パーセント程度と報告されており、決して稀なことではありません。もし脱落してしまっても、歯茎が治癒するのを待ってから、少し位置を変えて再埋入することが可能です。費用はクリニックによって対応が異なります。「感染」のリスクもゼロではありません。埋入部位の清掃が不十分だと、アンカーの周りにプラークが溜まり、歯茎が炎症を起こすことがあります。これを「スクリュー周囲炎」と呼びます。これを防ぐためには、タフトブラシなどを使って、アンカーの周りを毎日清潔に保つというセルフケアが不可欠です。重度の炎症が起きた場合は、一度アンカーを除去する必要があるかもしれません。その他、費用面でのデメリットも考えられます。インプラントアンカーは自費診療であり、矯正の基本料金とは別に、1本あたり数万円の追加費用がかかるのが一般的です。これらのデメリットやリスクを理解した上で、それでも得られるメリットの方が大きいと判断できるかどうかが、インプラントアンカー治療に臨む上での大切な心構えとなるでしょう。
痛みは?脱落は?インプラントアンカーのデメリットとリスク